32: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 20:39:41.13 ID:5UUNa7QZ0
幸いにも、集合場所は事務所の最寄駅だ。
私とくみちーがつく頃には夕焼けがうっすらと空を染め始めていた。
プロデューサー室に向かおうとしたけど、その必要はなかった。
ちょうど入口のエントランスでプロデューサーの姿を見かけたから。
仕事の連絡を確認しているのか。スマホに目を落としながら歩いてきた。
「プロデューサー」
声を掛けたくみちーに、プロデューサーは顔をあげた。
「久美子、それに未央。どうしたんだ」
「話があるの」
「悪い今は急いでるんだ。また今度に――」
「大事な話なの」
そのまま通りぬけようとしたプロデューサーの足が止まった。私とくみちーの顔を伺ってから、スマホで時間を確認していた。
「お茶する時間はないからな」
「分かってる」
茶化すように言ったプロデューサーに、私は薄い笑みを返した。
「それでなんだ。話って」
「サンノスのこと」
くみちーが切り出すと、プロデューサーの顔から感情がさっと抜けた。
「今話せることはないぞ。企画会議は来週の予定だ」
プロデューサーは言った。私に話した時のような、あくまで業務的な口調で。
「でもプロデューサーは期待できないと思ってる」
きみちーきっぱり言いきった。
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