29: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 20:31:44.31 ID:5UUNa7QZ0
呆気にとられ、失望がじんわりと心を染めた。
そんな。となんとか言葉を捻り出した私に、プロデューサーは事務的に述べた。
「まず、この企画はあくまで新しい組み合わせを探すためにやることだ。基本的には提案が新しいユニットだけだ」
「なにそれ!」
私がプロデューサーの口調を真似ながら言うと、くみちーが声を荒げた。
何人かのお客さんが、私達に目を向けてきた。
「プロデューサーが、嫌って言ったの?」
「そう言ったわけじゃ……」
「無理って言ったんでしょ。それって嫌ってことじゃい」
「だからだから。コンセプトから外れてるってだけだし。あくまで事務的にというかさ。無理っていったけど、一応考えてはみるともいったし」
「一応、でしょ?」
「まあ……うん」
痛いところをついてくる。
確かに、素気ないプロデューサーの態度は諦めろと言っているように私の耳に響いた。
楽観的に考えすぎていたのだ。
あそこまでプロデューサーに冷たく突き放されたのは初めてで、だから不安だった。
これでくみちーも乗り気でないなら、一人よがりなのではと考えてしまって。
そうじゃないと分かってホッとしたけど、よく考えれば事態が好転したわけもない。
私はコーヒーを口にした。
「プロデューサーが、そう言うなんて」
目を伏せたくみちーが、物憂げに呟いた。
それから口元に手を当て、色々な想いを巡らせているように眼を細める。
プロデューサーに拒絶されたことが、くみちーもショックだったようだ。
「でもほら、可能性はゼロじゃないんだからさ」
気休めで口にした言葉など、まるで聞いていなかった。
「……私、納得いかない」
そう言うと、くみちーは席を立った。
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