23: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 20:23:58.56 ID:5UUNa7QZ0
待ち合わせたのは、事務所の最寄り駅だった。
学校帰りの私は、駅前の雑踏の中にその姿を探した。
彼女がいたのは駅の近くの銅像の前だ。
向こうはすでに私に気付いていたようで、こちらに手を振っていた。私は彼女の元に駆け寄る。
「お待たせ、くみちー」
「やっほー、未央」
松山久美子、くみちーだ。
くみちーは鎖骨ほどまで出ている口の広いブラウスの上から、ノ―カラージャケットを着て、下は細いデニムのパンツ。いつもより砕けた服装だった。
「今日はカジュアルな感じだね」
「こういう私もありだと思わない?」
「もちろん」
カジュアルでも、だらしなくならないでちゃんと決まっていた。
「似合ってるよ。凄く」
「そう? ありがと」
私が褒めると、照れる仕草も見せずくみちーはニッとはにかんだ。
「未央も似合ってるわよ、その恰好」
「ありがとうだけど、今さら褒める?」
学校帰りなのだから、学生服にいつものパーカーだ。
くみちーも見慣れた姿なのだか。
「あら、褒めたのに嬉しくないの?」
今度はおどけるように笑ってみせた。どうも、私をからかってるらしい。
こう見えて、くみちーは結構お茶目だ。
「いやいや、全くもって光栄でございます。久美子様に褒めて頂けるとは。未央ちゃん、感動で涙が零れそうです」
「うんうん。苦しゅうない苦しゅうない」
そう言ってから、どちらともなく笑い出した。
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