20: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 20:16:25.65 ID:5UUNa7QZ0
「私は……うーん」
思わず唸ってしまう。いざ言われてみると、急には思いつかないものだ。
色々やってみたいことはあるような気がするけど、すぐにどれとも出てこなかった。
「そうだねー……」
ふと、窓からの風景が目に入った。
ビルの合間から眩く、オレンジ色の太陽。
夕暮れの景色。
不意に、あの写真が脳裏によぎった。
写真の裏に書かれた三つのサイン。
その中央の言葉。
『三人で、星を目指して』
「どうしたのですか、未央ちゃん?」
気付けば、私は歩みを止めていた。
少し先であーちゃんが、それから茜ちんがこちらを振り向いた。
「……ゴメン、二人とも先に帰ってて。ちょっと忘れものしちゃってさ。とりに戻るよ」
「待ってよっか?」
「いいって。あーちゃんはお仕事でしょ。じゃあまた明日!」
呆然としている二人を尻目に、私は踵を返した。
煌く黄昏の陽光に照らされながら、私は廊下を進んでいく。
廊下にはあたしの駆ける音だけが響いていた。
胸の高鳴りは、駆け足のせいなんかじゃない。
全速力には程遠いのに、呼吸が苦しくなる。
ある部屋の前で、あたしは立ち止まった。
ネームプレートにはプロデューサーの名前が掲げられている。
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