143: ◆saguDXyqCw
2017/06/19(月) 00:39:32.23 ID:0mGdZrJv0
いや、最初から緊張しっぱなしだ。
みんなそれを誤魔化していただけだ。舞台の前はいつもそう。
だってあんなに大きな舞台だ。緊張をしない方がどうかしてる。
私もだった。
少し前まで同じ舞台にあがっていたはずなのに、その熱はもう引いていた。
それでも時間はやってくる。これまでの沢山の経験と沢山のレッスンの全てをぶつける瞬間が。
この瞬間の為に、私たちはやってきた。ここ数カ月の出来事が頭を巡る。
夕焼けを見つめたあの瞬間から生まれた小さな願いが、ここまで私たちを連れてきた。
ここは、私がなにかを言わなきゃ。二人の緊張をほぐすなにかを。
二人を引っ張るなにかを。
「あの――」
「二人とも、リラックスだからね!」
なんて声をあげたのは、みうみうだった。
そんなことを言っておいて、顔にはこれでもかというくらいに緊張が浮かんでいた。
思わず笑ってしまう。
「ちょっと未央ちゃん笑わないでよ?!」
「ゴメンゴメン」
「でもだってさ。美羽、すっごい顔引きつってるよ」
くみちーも、笑いをこらえ切れていなかった。
「そ、そんなこともないもん。ちょっと聞いてよ」
おほん、と大きく咳払い。
「こう言う時はね、リラックスする手段があるんだよ」
なんて、なんだか自慢げに言った。
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