139: ◆saguDXyqCw
2017/06/19(月) 00:30:10.44 ID:0mGdZrJv0
全力でやりきった舞台の余韻に、静かに浸る暇もなかった。
次に出てくるユニットを紹介した後、私達は袖に捌ける。
「おつかれ、二人とも!」
薄暗い舞台袖。地響きのように会場を揺らすイントロと歓声を背後に、私達は円になるように小さく肩を抱き合った。
「お疲れさま、未央ちゃん。茜ちゃんも……!」
穏やかに、でも感情をあふれさせながらあーちゃんが微笑んだ。
ポジティブパッションの舞台の後だった。
「お疲れさまです……!」
この時ばかりは、茜ちんも感極まった堪えるような声をあげた。
ぎゅっと肩を組む力を強めて、ちょっと痛いほど。私も答えるように抱きしめ返す。
傍にあった温もりが、すっと離れた。
名残惜しくてその方を見ると、あーちゃんが淡く笑んでいた。
「ほら、未央ちゃん。早く次の舞台の準備にいなきゃ」
あーちゃんの言うとおり。
この後には、次の舞台が待っていた。
出られるだけで十分なのに、文句まで言うのは贅沢だ。
それでも、もう少し間をあけてほしかった。
この二人との時間を、もっと浸っていたかったから。
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