138: ◆saguDXyqCw
2017/06/19(月) 00:27:43.16 ID:0mGdZrJv0
息をつまらせゆっくりと手を退けて。
ぽろぽろと涙を流しながら、満面の笑顔を浮かべていた。
「やっと、三人で舞台に立てるって思うと、私……嬉しいよ」
「もう、なに泣いて――」
くみちーは言葉を止めて、自分の眼がしらに細い指を持っていった。
「ちょっと……やめてよね……こっちまで……ああ、化粧が」
泣いてる所を見られたくないのか、くみちーはそっぽを向いたが、手で何度も拭う仕草をしていた。
「もう……リハーサルもまだなのに、泣かないでよ二人とも」
「そういう未央だって」
「……まあ、ね」
くみちーに指摘されなくても分かっている。
私も泣いていた。
くみちーも泣いていた。
みうみうも泣いていた。
三人で泣いていた。
「久美子さーん……未央ちゃーん」
みうみうが私たちの肩に手を置くとギュッと身を寄せる。
近づいた顔は、涙でボロボロだった。
「二人とも酷い顔」
「うるさいわね。未央だってそうじゃない」
おかしくなって、笑ってしまって。
それでもやっぱり涙は止まらなくて。
しばらくの間、私たちはこの瞬間をかみしめていていた。
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