137: ◆saguDXyqCw
2017/06/19(月) 00:26:22.27 ID:0mGdZrJv0
私は客席に目を向ける。何千も並んでいる客席に。
翌日には、ここがお客さんでいっぱいになるだろう。それを考えると自然と身が引き締まった。
ゾワゾワするような高翌揚感。
想像する。客席のお客さんのうねり、地響きのように響き続ける声援で盛り上がり、それが爆発する瞬間。
それを、この三人で感じられる。そんな日が来るなんて。
横を向くと、くみちーと目が合った。
ほぼ同じ瞬間に、互いに向きあったことに驚いた。
くみちーが不敵に笑む。
「やっと、ここまでこれたね」
「うん、そうだね」
同意を求めようと、くみちーの奥に立っているみうみうに目を向ける。
はっとなった。
客席を見つめているみうみうの横顔。。
その頬には、一筋の涙が伝っていた。
「どうしたの、美羽?」
くみちーも驚きの声を上げる。我に返ったみうみうは、私達に首をかしげた。
「どうしたって――」
そこで、自分の頬に流れる涙に気付いたようだ。
「うえ?」
みうみうは驚きながらで涙を手の甲で拭う。
「えへへ……あれ?」
笑いながら、でも止まる様子もなく。それどころか次々と零れおちていった。
その内堪え切れなくなって、みうみうは両手で顔を覆った。
「ちょっと、みうみう?」
「……嬉しい」
165Res/216.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20