122: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 23:48:28.84 ID:5UUNa7QZ0
いよいよ梅雨を抜け、夏が顔を覗かせようとしているカラッと暑い日だった。
仕事の資料を貰う為に事務所につくと、奇妙な唸り声が聞こえてきた。
「うー」
まわり込んでみると、ソファーでみうみうが仰向けになっていた。
胸には社会の教科書が乗っている。勉強中のようだ。
テーブルには他にも教科書が乗っていた。
「あ、未央ちゃん」
「誰かと勉強してたの?」
「うん。加奈ちゃんと琴歌ちゃんと。今はお菓子の買いだしに行ってるけど」
「ふーん」
みうみうは教科書を持ち上げて顔の前で広げたが、すぐに諦めたのか、そのまま顔に教科書を乗せた。
「歴史が私を責めてくる……わたし、織田信長も演じたことあるのに……歴史に負けるー」
信長ならば、負けるのはある意味正しいのではないだろうか。
「ねえ、未央ちゃん」
見ると、みうみうは顔から教科書をどかして、天井を見つめていた。教科書を持った手は、ソファーの脇にぶら下がっていた。
「サンセットノスタルジー、どうなるのかな?」
「うーん、どうだろう」
みうみはぼんやりと宙を見つめている。
「不安なの?」
「うん、不安」
こっくりと頷いた。
「サンセットノスタルジーが出れないのもそうだし。そしたら、私も出ないだしさー」
「それは気にしなくていいんじゃない。普通に出ればいいと思うよ」
「でも、未央ちゃんは出ないんでしょ?」
美羽ちゃんは半身を起こして聞いてきた。
「まあ、そうだね……」
みうみうは、再びソファーに沈んでうつ伏せになる。
「それなら、やっぱり私も出ないよー」
165Res/216.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20