121: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 23:47:09.48 ID:5UUNa7QZ0
「そもそもなんであんなことを? 事務所辞めるだなんてさ」
「いいのよ。辞めることになったら、ピアノ教室でも始めてみるわ。暫くは今みたいに、お母さんの手伝いだけど、その内に自分だけのをね。そしたら、未央も習いに来てよね」
「そうじゃなくて。なんでそんなことを言ったの」
ライブにでないというのも重大なことだ。
それによって、今後のアイドル活動にかなりの影響を与えるのは間違いない。
でも、それでも細々とはアイドルを続けられる。
辞めるとなると、そのような問題ではない。
くみちーは、手にしていたポテトをくるくる杖のように回していた。
「……負けたくなかったの」
ぶっきらぼうに言った。
「美羽があんなことをやったじゃない。未央だって、倒れるまでレッスン頑張って、その上ライブに出ないって言ってさ。私だけ、サンノスの為になにもできていと思って。悔しかったの」
気まずそうに、くみちーは視線を逸らす。
「この話、二人だけの秘密だからね」
そう言って、ポテトを口に放り込んだ。
そんなわけないのに。
くみちーが居てくれたお陰で、どれだけ私たちは助けられたのか。
でも、それを言うのはなんだかくみちーの覚悟に水を差す様に思えて。
代わりに、私は微笑んで言った。
「流石、くみちーだね」
くみちーは、照れくさそうに笑っていた。
165Res/216.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20