113: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 23:28:28.32 ID:5UUNa7QZ0
自分でも声が震えているのが意識できた。
周りが静まり返る。
私の言った意味を分かりかねているように。
だから、私は言葉を重ねた。
はっきりと、顔をあげて。
今度は声が震えないことを祈りながら。
「サンノスで出れないなら。私今度のライブには出ないから」
「うわきょ!」
「ちょっと、未央?」
目を丸くしたくみちーとみうみう。茜ちんも瞬きを繰り返していた。
「未央ちゃん、なにを……!?!?」
「未央」
プロデューサーが口を開いた。
子供を確かめるように窘めるように。あやすように。
「さっきも言ったろ。馬鹿のことをいうなよ。次はある。なにもそこまで意地張らなくたってさ」
「……次っていつ?」
私の喉は冷凍されたみたいにカチカチに強張って。
それでも私は喉を鳴らした。
「次っていつなの? 教えてよプロデューサー。来年? 再来年? 十年後? 結婚して子供ができたら? それとも孫ができたら? ねえ、何時なの?」
「それは分からないが……」
「プロデューサー言ったよね。私達、人気が出てどんどん忙しくなってるって。そしたらいつ時間がとれるの? 今回だってぎりぎりだったのに。もしもっと人気が出たら? そしたらどんどん難しくなるじゃん!」
私は叫んだ。ただただ必死に、必死に叫んだ。
「今の私たちは今しかいないんだよ?! 有るか分からない次なんか、待ってられないよ!」
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