111: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 23:24:12.63 ID:5UUNa7QZ0
「トレーナーさんが話したんだ。部長と鉢合わせて、倒れた理由を問い詰められたんだ。それでサンノスのことがあるから、無理をしてるって。部長は、あんまりサンノスに乗り気じゃなかったからな。それで今回の一件だ」
「そんな」
「トレーナーさんを責めないでくれよ。お前が目の前でぶっ倒れて動揺してたんだ」
フロアで電話をしていたトレーナーさんの姿を思い出す。
トレーナーさんが気にかけてくれていたことも、分かっていた。
体中から力が抜けていった。
「じゃあやっぱり……私のせいなんだ」
サンノスの件で色んな人に心配かけて、だからこれ以上心配させないようにどれも全力でやった。
その結果、最悪の事態を招いてしまった。
そう分かっても、私は悔しかった。悔しくて、惨めだった。
「未央、今回は仕方ないよ」
慰めるようにくみちーが笑みを浮かべた。
そんな言葉、かけてほしくなかった。
「なんでそんなこというの」
「あんたが無理してたの、分かってたのに止めなかった。私にも責任はあるから」
私はみうみうを見る。みうみうは笑っていた。
企画書を胸に抱いていた時とは全然違った笑顔だった。
「そうだよ。未央ちゃんが体壊してできなくなったら、サンノスどころじゃないもん」
二人とも私を心配して、だからそんなことを言って。
胸が痛くなった。
「なあ、未央」
プロデューサーが口を開いた。
「今回は駄目だったけど、一回は通ったんだ。また次の機会があるさ。」
優しく、言い聞かせるように。
プロデューサーは心配しているのだ。
アイドルかどうかも関係ない。
知っている人が倒れて心配しない人間なんているのか。少なくともプロデューサーはそうじゃない。
だからそう言う。
言葉はどうあろうと、その意味はこうだ。
諦めろ。
165Res/216.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20