107: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 23:17:24.06 ID:5UUNa7QZ0
「私が……?」
くみちーは怒っているようにも、悲しんでいるようにも見えた。
まるで実感が湧かなかった。
「自販機のそばで倒れたんだって」
「あっ……」
やっとぼんやりと思い出してきた。
あのまま倒れて、少し意識を失って。
それから、誰かに担がれてここまできたのだ。
自分でも信じられなかった。意識を失った経験なんて子供の頃、木登りをして落ちた時だけだ。
でも、考えてみればあの時のように記憶はぷっつりと切れていた。
心配そうにみんなが覗きこんでるのも、一緒だった。
あーちゃんと茜ちんはレッスン着のままだった。
「疲労とストレスからの貧血じゃないかって」
くみちーが言った。
「おかしいな、ちゃんとご飯食べてたはずなんだけど」
そう言ったけど、確かに最近食べる量が少なかったかもしれない。
「バカ言わないでよ……もう」
「あれ、じゃあレッスンは?」
「できる状態じゃないでしょ」
あーちゃんは窘める。本当に心配させてしまったらしい。
申し訳なさで胸がいっぱいになった。
「ゴメンね、あーちゃん、茜ちん」
「ホントだよ、心配したんだからね……私」
あーちゃんの顔がくりゃりと歪んだ。泣くのを必死に我慢していたようだった。
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