本田未央「Re:サンセットノスタルジー」
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106: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 23:13:48.67 ID:5UUNa7QZ0


 頭がズキズキした。

 喉がカサカサだった。

 話声が聞こえてきた。

 重たい瞼を開ける。脇に誰かがいた。

 ぼやけて良く見えない。それでも見ようとして、首を何度か小さく揺らした。

 脇にいた影が、私に気付いたようだった。



「未央ちゃん」


「あーちゃん?」



 私の覗きこんでいたのはあーちゃんだった。

 あーちゃんは今にも泣き出しそうな顔をしていた。


「未央ちゃん!」「未央」「未央ちゃん!」


 あーちゃんの後ろから茜ちん、くみちーとみうみうが顔を覗き込んだ。

 なんでくみちーとみうみうがいるのか。もうサンノスのレッスンの時間か。

 それならなんで、あーちゃんと茜ちんがいるんだろう。

 そもそも、なんで私はベッドに寝ているのか。


 布団はうちのと違って、真っ白で清潔で、生活感の感じられない余所余所しさがあった。

 そして薬の匂い。

 事務所の医務室だった。


「あれ、レッスンは? どうなったの?」


 あーちゃんの顔が強張った。


「覚えてないの、未央ちゃん」


 微かに声の震えたあーちゃんに、私は首をかしげた。
 
 動揺をしているようだけど、どうして動揺をしているのか私にはさっぱり分からなかった。

 考えようと思っても、頭を覆う薄い靄が邪魔で思考が働かなかった。


「なにが」


 ぼんやりと呟いた私に、くみちーが身を乗り出してくる。




「なにがじゃないわよ。倒れたのよ、未央」







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