1: ◆2tw7Ji6IluEW
2017/06/17(土) 15:05:26.02 ID:FNohgaRnO
「もしもし、どうしたのママ」
「え?久しぶりに帰ってこい?」
「わかった。次の土日には帰るからさ」
「うん。じゃあ」
そういや引っ越してから1回も実家に帰ってなかったっけ。
「パラ宿か……」
なんとなくつぶやいた。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 15:08:42.47 ID:FNohgaRnO
- 僕はいつも迷惑 -
3: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 15:12:34.41 ID:FNohgaRnO
久しぶりに”ここ”に来た気がする。数年前まで僕とレオナの部屋だったのに、今は僕1人しかいない。
レオナは僕と違う道に進んじゃったからここにはいない。だから、この部屋に僕1人って言うのも……始めてだった気がする。いつも、レオナと一緒だったから。
そんな部屋にはベッドが1つあるだけで、それ以外には特に何もない。昔はもっと色々あったのになあ。なんか寂しい。
4: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 15:18:24.51 ID:FNohgaRnO
「ドロ……さ……」
「……シー……!」
誰かに呼ばれてる。でも誰なのかよくわからない。あれ、なんだっけこれ。どっかで聞き覚えがある。
誰なのか全く思い出せない。……誰だ?
5: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 15:22:06.15 ID:FNohgaRnO
グゥ〜。
お腹の虫の音が鳴って目が覚めた。あれはなんだったんだろう。何か、何かあったような……。
そういえば、そろそろお昼か……。そういや、引っ越してからもんじゃ作ったことなかったなあ。
6: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 15:28:00.96 ID:FNohgaRnO
下に降りていくと、誰かが座っていた。あれ、鍵は閉めたはずなのに。
今日はお店はやってないことを伝えようと、近づいて見ると、頭にお団子が2つ。よく知ってる人だった。
「らぁら?」
「あ、ドロシーさん……」
7: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 15:32:39.50 ID:FNohgaRnO
そういえばもんじゃ作るために下に降りたんだった。らぁらいるけどどうしよ。
「そうだ!今からもんじゃ作ろっかなって思ってたんだけど、食べてく?」
「……うん」
「よっしゃ!」
8: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 15:38:58.93 ID:FNohgaRnO
もんじゃがうまく出来上がった。久々なのになかなかやるじゃん僕。
「ほい!お待たせ!ドロシー特製もんじゃだよ!」
「……ありがとう、ドロシーさん」
「おう!」
9: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 15:43:41.69 ID:FNohgaRnO
「……いただきます」
もんじゃを食べるらぁらを見るのは久しぶりで、昔はよく食べさせてたのになんか新鮮に思える。
「美味しい……」
10: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 16:03:10.69 ID:FNohgaRnO
「ううん!ごめん!なんでもない!」
そう言いながら慌ててらぁらは涙を拭う。
「……本当に?」
11: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 16:09:16.48 ID:FNohgaRnO
「ありがとうドロシー、じゃあ私帰るね」
「こちらこそありがとならぁら、気をつけろよ」
「……うん」
もんじゃを食べ終わったらぁらは家に帰るみたいで。普通にいつも通り見送る。
12: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 16:18:10.88 ID:FNohgaRnO
気がつくと僕はらぁらの手を掴んでいた。もう無意識だった。
「ドロシーさん、離して?」
「ごめん」
「ごめんって言うなら、離してよ」
13: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 16:22:55.62 ID:FNohgaRnO
「ドロシーさん、なんで離してくれないの……」
「ごめん……」
「せっかくドロシーさんのこと、どうでもいいって、思えるようになったのに、こんなの、んっく、ずるいよ……」
らぁらのすすり泣く声が聞こえる。らぁらがどんな思いだったかやっとわかった。だから、僕は「ごめん、ごめんね」って謝ることしかできなかった。
14: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 16:30:21.63 ID:FNohgaRnO
──大学はわざとパラ宿から遠いところを選んだ。今まで僕は色んな人に迷惑かけてきた。だから誰にも頼らなくていいようにした。
レオナとか家族以外には誰も教えなかった。嘘をついた。だから、パラ宿駅で見送りに来たのは家族だけだった。
15: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 16:45:35.17 ID:AcPLedJbO
今、僕はやっと思い出した。僕はらぁらに、みんなに、迷惑をかけっぱなしだった。なんて僕はバカなんだろうと。
「ごめん、ごめん、らぁらごめん」
いつの間にか泣いてた。泣きながら、謝るしかなかった。謝っても謝っても謝りきれないから、謝るしかなかった。
16: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 16:53:47.18 ID:AcPLedJbO
泣き疲れてしまったから、僕とらぁらは僕の部屋だった部屋に来た。
「ドロシーさんの部屋、久々だなあ」
「そうだね。らぁらがいるのは久々」
17: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 17:10:55.88 ID:AcPLedJbO
「てか、らぁらなんであの時ホームにいたの?家族以外誰にも教えてなかったのに」
気になることを聞くと、らぁらは口に指をあてて、「それはね……今はまだひみつ」って。
なんだよそれって言ったけど、勝手に黙って遠くに行った僕が深入りできるわけもなく。
18: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 17:21:16.28 ID:AcPLedJbO
受験生ってことはどこの大学に行く気なんだろう。昔のらぁらは僕と同じぐらいテストの点数悪かったけど、今のらぁらはよくわからない。
まあ遠くに逃げ出すために、必死に勉強した僕よりは、ちゃんとしたところに決めてるんだろうけど。
「ところでらぁらはどこの大学に行くんだ?」
「うん、えっとね。耳貸して?」
19: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 17:33:32.45 ID:AcPLedJbO
──。
20: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 17:39:47.55 ID:AcPLedJbO
頬に柔らかい感触があたった。
「えへへ、こう言うことですよ」
……うん、さすがに僕でもわかるよ。
21: ◆2tw7Ji6IluEW[saga sage]
2017/06/17(土) 17:46:26.02 ID:AcPLedJbO
「あ、そうだ、ドロシーさん!」
「うわぁ?!びっくりさせるなよー!」
急にらぁらが戻ってきたから、びっくりした。なんだよいきなり。
28Res/11.54 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20