37: ◆SESAXlhwuI[saga]
2017/06/16(金) 19:32:58.19 ID:yFIcZ1s10
―――――
――素敵で儚い夢を見ていた。今では、そう思っている。そう思わなければ、自分自身を許せなくなってしまいそうだから。
私は、あの日のようにレッスンルームで自主レッスンを続けていた。あの後、一人での自主レッスンは朝だけ、終業後にレッスンする時は、誰かがついているようにするというルールが設けられた。その理屈から言うなら、彼もわざわざ文句を言いには来ないだろう。
ステップを踏む足は、あの日と違って時に舞うように、時に突き立てるように動いている。メモに書いてあったことを、いまだに続けている成果だろうか。未練は、奇しくも私を育て続けていた。
先ほどまでの動悸は、いつの間にか消えていた。
時計へと目を向ける。そろそろ、引き上げる時間の様だ。
私は静かに振り返る。勿論、そこには何の変哲もない、いつものレッスンルームしかなかった。
49Res/35.97 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20