149:名無しNIPPER[saga]
2017/06/23(金) 17:25:27.34 ID:3ai9I0vk0
「最後にひとつだけ言っておかなればならないことがあります。
石田くん、それに八重子さん。お二人は硝子さんが声を出せない。
何も伝えることが出来ないと思っていますね。」
「だって西宮は耳が…」
「そうよ。そのせいで硝子は声が出せないのよ。」
「そんなことはありませんよ。
彼女は正しい声を出せませんが我々と異なる声を出せることが出来ます。
それが手話でした。」
石田は硝子と出会ってから彼女がずっと手話で語りかけていたことを思い出した。
確かに硝子は手話を用いて自分たちとコミュニケーションを取ろうとした。
だが…自分たちはそれを拒絶した…
理由なんて単純だ。面倒くさかったからでしかない。
硝子一人のためにそこまでやりたくないと自分を含めた6年2組のみんなが思った。
けれど声が伝わらない硝子はそれ以外に何かを伝えることなど出来なかった。
硝子のつらさを知っていれば決してそんなことは思わなかったはずなのに…
「硝子…」
そんな後悔に打ちひしがれる石田と同じく
母親の八重子もまた手話を覚えなかったことに後悔した。
ずっとこの子のためを思って頑張ってきた。
自分の意思を伝えられない哀れな子だと思って…
けどそうじゃなかった。
硝子にもちゃんと意思がありそれを伝えることは出来たはず。
それが伝わらなかったのか…自分が娘の障害に目を背けていたから…
夫と別れる原因となった硝子の障害をずっと疎ましく思っていた。だから…
今頃になってそのことを悔やむ八重子と石田。
そんな時、硝子が石田の前で手話を用いてこう語りかけてきた。
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