15: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:41:46.85 ID:6jKTh3xi0
「あれー? あのスタジオ、どっちだっけ?」
「そこを左です。……フレデリカさん、私よりも行ってる回数多いですよね?」
「そっか……真っ直ぐだったらおいしいたこ焼き屋さんがあったのにな〜」
「仮にそうでも、撮影前にたこ焼きなんて言語道断です」
「冗談だよ〜?」
そんな会話をしながら、進行方向を左に切り替えます。
その直後。
(わっ……!)
曲がり角の先は死角なのですから、視界が開けるまではそこに何が存在しているのかわかりません。
私がそこを曲がったとき、目の前に現れたのは、長身の人影でした。
(ぶつかる……!)
咄嗟に私は、避けようと体を横に動かします。
なんとか正面衝突は避けられそう……と思ったのも束の間。
最初、その人は手に何も持たずに歩いているのだと思いました。
重そうなバッグも、大きいリュックも、軽そうなポーチだって、その人は身に着けていなかったのですから。
腕が軽く当たってしまうことくらいは、仕方がないのかな。なんてことも考えながら。
しかし、その一瞬の間に。当たるまでの一呼吸の間に、私の鼻腔に届いたのは、その"匂い"。
そして、私の目が、真っ直ぐに向き、その人の持っているモノを捉えたのは、ほぼ同時でした。
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