6:名無しNIPPER[saga]
2017/06/14(水) 03:18:48.55 ID:8j/lUozC0
「ただいま帰り――あれ? 楓さん、どうしたんですか?」
早く来ちゃいました。そう言ってコーヒーを渡すと、プロデューサーは「ありがとうございます。でも、来ちゃいましたか」と笑い、コーヒーに口をつけた。お口に合いましたか?「はい、とても。……この時間だと、楓さん、お昼はまだですか?」
まだだ。そう言えば、朝ごはんも食べていない。
「それじゃ、行く前に何か食べます?」
ということで、プロデューサーとちひろさんと一緒にお昼ごはんを食べに行くことにした。ちひろさんも一緒なので、近場の店だ。
食事を終えるとちひろさんと別れてそのまま現場へ向かう。今日の仕事はいくつかのインタビューとラジオの収録だ。
「今日はよろしくお願いします」
そうやっていくつかのインタビューが終わると、もうあたりは暗くなっている。間にちょっとした写真の撮影もあったけれど、予定よりも時間がかかった。と言っても、それはプロデューサーの想定内のものであり、ラジオの収録には十分間に合う。
毎週録っているこのラジオでは、色んなことを話させてもらっている。ゲストに同じ事務所のアイドルを呼ぶこともあるが、基本的にはひとりで話す。昔は話すことがあまりうまくなかったと思うのだけれど、少しはうまくなっただろうか。リスナーやファンに楽しんでもらえていたならば何よりだ。
番組に送られてきたメールを読んで、答えたり、話を広げたり、無軌道に色々なことを話していく。今朝あったことも話しちゃったりして、なんだか楽しくなってしまう。
「……歌ったんですか」
あ、そう言えばプロデューサーもいたんだった。すっかり忘れて話してしまった。
案の定プロデューサーには色々と注意を受けたけれど、最後には「でも、楓さんがそうするべきだと思ったならば、なんだってして下さい。それをフォローするのが、プロデューサーの仕事ですから」と言ってくれた。……そんなに、甘えさせないで下さい。「それ、そんな顔で言っても意味ないですよ」……プロデューサー、少し、意地悪です。「かもしれませんね」
事務所に帰ると、瑞樹さんや美優さんたちがいた。ちひろさんも仕事が終わるところだったので、一緒に軽く飲みに行くことが決まった。毎日毎日こうやって飲みに行っているわけではないけれど、予定が合えば一緒に行くことは多い。みんなでお酒を飲んだり食事をしたりするのは本当に楽しくて、すぐに時間が過ぎてしまう。今日もとっても楽しかった。
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