31: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 22:55:27.54 ID:GTk52CSjo
「そこに夢があるのなら。アイドルでなければ見えない、そんな景色を見てみたいと思うのなら。」
「一歩、前へ踏み出してみませんか?」
そう言って彼は、彼女に右手を差し出した。
32: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 22:56:28.59 ID:GTk52CSjo
彼女はゆっくりと目を閉じた。
そこでは、彼女はとあるステージに立っていた。
ここよりももっと大きなところだ。
33: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 22:58:31.78 ID:GTk52CSjo
彼女はゆっくりと瞼をあげた。
彼女が今立っている場所はまだ観客のいない舞台の上。
その足元には舞台の立ち位置を表す印がつけられていた。
34: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 22:59:09.89 ID:GTk52CSjo
「プロデューサー、私を・・・」
彼女自身が囚われていた籠はもう何処にもない。
彼女の手が動き出す。
35: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 23:00:35.41 ID:GTk52CSjo
====4. 見えなかったもの====
劇場の屋上には2人の影があった。
それはアイドルとプロデューサーであり、お互いがお互いのパートナーである。
36: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 23:01:29.63 ID:GTk52CSjo
「あの日聞いた音色を、もう一度聞きたくて。」
それはかつての彼女の願いだった。
37: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 23:02:14.13 ID:GTk52CSjo
「一歩を踏み出す勇気がどれほど大切か、それはあなたに教えてもらったこと。」
「だからプロデューサー。もっと自分に自信を持ちなさい。」
38: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 23:03:51.84 ID:GTk52CSjo
彼女は彼のすぐ脇に、ゆっくりと腰かけた。
「ねぇ。プロデューサーは、アイドルをやってる私を頼りないと思ってる?」
39: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 23:05:05.83 ID:GTk52CSjo
それからしばらくの間お互いに会話は交わさなかった。
風が木々の枝を揺らす音。微かに聞こえる波の音。
お互いがすぐ隣にいることを感じながら、ゆるやかに流れる時間を感じていた。
40: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 23:06:09.75 ID:GTk52CSjo
====5. 輝きに導かれて====
時間でいえば1分も経ってなかったかもしれない。
ある時、ちょっとした拍子で手が触れ合い、妙に恥ずかしくなった2人はゆっくりと立ち上がった。
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