8:名無しNIPPER
2017/06/12(月) 20:20:01.57 ID:jwmoGbo20
火曜日
辻垣内邸で目を覚まし、朝ごはんをモリモリと食べた後。私は街をブラブラと歩いていました
9:名無しNIPPER[sage]
2017/06/12(月) 20:22:34.24 ID:jwmoGbo20
木製の古い扉を開けると、カランカランと心地の良い音がします
「いらっしゃいませ……って、ミョンファでしたか」
古時計やダイヤル式の電話機やコケシが並ぶ棚の奥、店のカウンターの内側には、ハオが椅子に座って店番をしていました
10:名無しNIPPER[sage]
2017/06/12(月) 20:23:09.46 ID:jwmoGbo20
『改めて奴の犯行時刻の証言をここに書いておく』
11:名無しNIPPER[sage]
2017/06/12(月) 20:24:20.55 ID:jwmoGbo20
入り口からカランカランと音がしました。お客さんがやってきたようです
「ここが古道具屋アルカ?」
新たなお客さんはキツネのような糸目にナマズのようなヒゲを生やし、中国人の民族衣装を身にまとった男性です
12:名無しNIPPER[sage]
2017/06/14(水) 11:20:43.70 ID:ZDD1pdCd0
そう言って彼がカバンから出したものは、全長30センチほどの、聖女を象った白銀色の置物でした
美しいことは美しいのですが、所々ーー特に背中の部分の色が剥げていて、見窄らしいです
「……随分と見窄らしいですね」
13:名無しNIPPER[sage]
2017/06/14(水) 11:25:20.50 ID:ZDD1pdCd0
これは今から二十年ほど前の話アルヨ
14:名無しNIPPER[sage]
2017/06/14(水) 11:29:10.99 ID:ZDD1pdCd0
翌日、私はまたその場所に行ったアル
前日道に迷ったワタクシだけれど、一度行った場所は忘れないのが自慢ネ
けれど、家には誰もいなかったアル
15:名無しNIPPER[sage]
2017/06/14(水) 11:37:48.58 ID:ZDD1pdCd0
「申し訳ありませんがーーこの置物はただの古い置物。それ以上の価値を見出せません」
ハオは凛とした声で告げます
「だからーーーーーー買い取れません」
16:名無しNIPPER[sage]
2017/06/14(水) 11:42:48.35 ID:ZDD1pdCd0
つまりーーーーーー天女との淡い恋の思い出は、その実、殺人犯に凶器隠蔽の片棒を担がされた。という話だったわけです
なんと報われない話でしょう。いくらなんでも可哀想です
「……というか、あなたは薄々気付いていたんじゃないですか?」
17:名無しNIPPER[sage]
2017/06/14(水) 11:43:27.32 ID:ZDD1pdCd0
「礼には及びませんよ。こちらこそ、貴重な体験を聞かせていただきました」
優雅に一礼するハオ。まさしく英国紳士のようです
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