14:名無しNIPPER[sage]
2017/06/14(水) 11:29:10.99 ID:ZDD1pdCd0
翌日、私はまたその場所に行ったアル
前日道に迷ったワタクシだけれど、一度行った場所は忘れないのが自慢ネ
けれど、家には誰もいなかったアル
その次の日も行ったけど、誰もいなかったアル
その次の日も
その次の日も
ワタクシの住んでいた村は治安が良くない所だったから、心配だったアル
当時も、強盗が押し入っただの空き巣に入られただの男性の放置死体だの夫婦喧嘩で妻を殺しただの、色んな事件が起きていたアル。警察も手一杯ネ
だから、何かの事件に巻き込まれたのかと思って、家の中に入って調べる事にしたね
家の中は明らかに誰か住んでいた痕跡があったアル
でも驚いたのは、その家にワタクシくらいの年の少女が住んでいた。という痕跡がまったく無かった事ある
そこには、初めから少女なんていなかったかのように
あれはワタクシの白昼夢だったのかと思ったけれど、聖女の置物は私の手元にあるネ
きっと彼女は、たまたまあの場所に居合わせた、この世の者ではない、天女のような存在だったアル
「きっと彼女は今、空の向こうにいるアルヨ」
そう言って、途中でハオが出したお茶をすすりながら、話を締めくくりました
天女が贈ってくれた聖女の置物。なんと素晴らしいものでしょう。ロマンチックな話に思わずワクワクしてしまいます
「なるほど……」
一方、ハオは鉄扇を閉じたり開いたりしながら怜悧そうな美貌を崩さず思案顔です
「というわけでオネーサン。この天女のくれた置物。買ってチョーダイ」
……?
なぜそのような大切なものを売りに出すのでしょうか?
私だったら部屋に飾っておき、たまにこの聖女を見つめて過去の一目惚れの記憶へと想いを馳せます。そしてやがては結婚し嫁入り道具としてこっそりと荷物に忍ばせ、旦那に「それどうしたの?」と聞かれると、当時の事を思い出しまるで秘密を共有するいたずらっ子のような笑みを浮かべながら「ふふふ。内緒です」と言いいたいです
そしていずれ娘が産まれ、成長して大人になり婚約者を連れてきて「お前のような奴に娘はやらん!」と言い張る旦那を娘と共に説得。しぶしぶ旦那は結婚を認め、娘にも子供ができます
やがて時が過ぎ私が揺り椅子に座っていると孫がやってきて「おばーちゃん。あれなあに?」と聖女の置物を指差して聞いてくるので「あれはねーーーーーー」と昔話を聞かせるのです
などと当初の疑問から大きくかけ離れた妄想に耽っていましたが、パチン。とハオが鉄扇を閉じる音が響いた事で、我に帰りました
35Res/74.86 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20