25:名無しNIPPER[sage]
2017/06/16(金) 19:08:29.38 ID:C7mt4QM40
この部屋にお宝が隠されているのでしょうか。けれど、どこにもそれらしきものは見当たりません
「怪しいのは、この女性の像ですね」
「うん。何かの仕掛けがあると思うんだけど……」
私とネリーは女性の像を隅から隅まで調べます
すると、彼女の左足首に文字が彫ってある事に気がつきました
「えーっと、『stニノ』……?どういう意味なんでしょう」
ファイティングニノの仲間でしょうか
「ん……?ミョンファ、ニノって言った?」
「ええ。ここにstニノと……」
私が答えると、ネリーは慌てて女性の顔に向き直ります
「わかった……この人、聖ニノだ」
聖ニノ?
「サカルトヴェロにキリスト教を伝えたえらーい人だよ。教科書でちょっと見た事あるけど、間違いないよ」
なるほど。それでネリーはピンと来たわけですね
それにしても、グルジアの偉人の名前を使うということは、サトハがネリーに向けた何かしらのメッセージなのでしょうか
「確か聖ニノは、右手を葡萄十字を持ってて左手にナントカって本を持ってたハズだけど……」
今私たちの前に佇んでいるニノ氏は、短剣しか持っていません
「ブドウジュウジ……って何ですか?」
「グルジアの十字架で、こんな形をしてるんだけど……」
そう言ってネリーは宙に指で形を描きます。それは十字架の水平部分が下へ垂れ下がった形状の十字架でした
あからさまにわかりやすい仕掛けです
私は鍔がブイの字の形をした短剣を掴み、逆さまに持たせました
「わぁ!やるな隊員一号!」
ブドウジュウジの完成です
けれど何も起きません
「十字架は完成したから、後は本かぁ……」
ネリーはじーっと私が手に持った絡繰覚書を見つめます
関係ないだろうと思いつつも、ニノ氏の左手に絡繰覚書を持たせて見ました
すると、ガコン。という音が畳の下から響き、カラカラという何か滑車か歯車が回る音と、水が流れる音が聞こえます
そして、重厚な音を立ててニノ氏の像が動き出しました
「こ、これは……」
「地下へ続く階段ですね……」
ニノ氏の動いた後には、地下階段が現れたのです
この本が関係するという事は、この像の仕掛けを用意したのは辻垣内時永氏でしょう
彼は色んな国を渡り歩いていたみたいですから、ニノ氏の事を知っていても不思議ではありません
そしてこの先にあるのは、月神家の埋蔵金に違いありません
「よし!じゃあ隊長に続いて降りるように!」
そう言ってネリーはワクワクしながら階段を降りていきます。あんなに慌てて、転ばなければいいのですが
私もネリーに続いて階段を降ります
地下に降りると、真っ暗で何も見えません
ネリーが懐中電灯を点けると、辺りを見回すことができました
どうやらそこは、炭鉱みたいな地下洞窟のようです
35Res/74.86 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20