24:名無しNIPPER[sage]
2017/06/16(金) 19:07:49.02 ID:C7mt4QM40
金曜日
私は辻垣内邸の客室に座り、絡繰覚書を読んでいました
サトハから聞いた話と、昨日、DIANAーー月の女神の名前ですから、月神とかけているんですねーーで聞いた話を念頭に本を開くと、ある程度内容を推察しながら読むことができます
ざっくり言えば、大戦で日本の敗亡を予感した月神小太郎は、辻垣内時永に頼んで財産を隠したそうです。ようするに、埋蔵金のようなものです
しかし、その場所がわかりません
この本はあくまでその過程を記したものですし、誰かしらに見つかり密告でもされたら台無しになるからか、計画自体も随分と婉曲な言い回しで記されています
一体どこに埋蔵金が隠されているのでしょうか
まあ、とりあえず本についての物語がわかったのでよしとしましょう
私はパタンと本を閉じました
「ミョンファー!ミョンファー!これ見てー!」
ネリーがバタンと襖を開けました
「どうしたんですかネリー……って、なんですかその格好は」
客間に飛び込んできたネリーは、ヒトシ君人形のような服を着ていました。アマゾンかバミューダトライアングルに探検にでも行くのでしょうか
「ふふふ。見つけちゃったんだよ。宝の地図を!」
そう言ってネリーは得意げに手に持った古い紙を私に見せます
その紙は、地図……というよりはどこかの家の見取り図のようです
「どこでこの地図を?」
「月曜日にサトハにもらった古銭入りの甕があったでしょ?あの中に入ってたの」
なるほど。確かに古銭の中に埋もれていた地図なら、宝の地図っぽいです
「でも、この地図はどこの家の見取り図なんでしょうか」
見る限り、随分と広い家のようです。けれど、これだけではどこの家のものかはわかりません
「ふっふっふ。ミョンファは鈍いねー。ネリーは一目でわかっちゃったよ」
腕を組みドヤ顔をするネリー。かわいいですね
「この見取り図はね。この家ーーサトハの家の地図なんだよ」
ふむふむ。なるほど。この家で迷子になる私にはわかりませんでしたが、確かにそれっぽいです
「で、このバツ印がある部屋に宝があるんですね」
「うん!きっとそこには沢山のお金があるはずだから、早く行こ!」
ネリーに急かされ私は立ち上がりました
◇
「それじゃあ、私が隊長で、ミョンファは隊員一号だからね。私の事は隊長って呼ぶように!」
「はいはい」
ばってんがついていた部屋。それは月曜日の夜に私が迷い込んだ部屋でした
ネリーが襖を開くと、あの時と同じように、短剣を携えた女性の像が凛々しく佇んでいます
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