19:名無しNIPPER[sage]
2017/06/14(水) 19:38:09.66 ID:ZDD1pdCd0
私はサンドウィッチを食べ終え、一息つきます
公園では、未来ある若人達こと小学生が、カンケリをしています。このような暑い日差しの中でも元気に駆け回る姿には脱帽です
そういえば、以前臨海女子の間で、カンケリが話題になりました
その日は雨が降っていたので、いつか晴れた時にやろう。と言いながら、結局やってません
いずれカンケリをする時が来るかもしれないので、予習をしておいた方がいいかもしれません
カンケリに混ぜてもらおうと思い立ち上がったその時でした
公園の隅で、シートを広げ路上販売している青年が目にとまりました
カンケリのことを忘れ、興味本位で近づいてみます
紺色の浴衣に身を包み、布で口元を覆った店主の肩には、可愛らしいインコがとまっています
そしてシートの上には、小鳥さんやおサルさん、カエルさん、タヌキさんなど動物の玩具が置かれています
『お嬢さん、興味あるのかい?』
シートの上の玩具を眺めていると、店主の肩にとまったインコさんが喋り出しました
私はびっくりしてインコを見つめます
『ははは。驚かせてしまったね。私の名前はネモ。語り部インコのネモだ。こっちの辛気臭いのは久々津。人形師の道家 久々津(どうけ くぐつ)』
口元を布で覆った店主は、無言で会釈をします
『彼が全く喋らないものだから、私が代わりに喋っているのさ』
なかなか饒舌で紳士的なインコさんです
私もフランス淑女として、自己紹介します
「私は明華。雀明華です」
インコに自己紹介をするという貴重な体験を得ることができました
「ところで、これらは一体なんですか?」
『この子たちは全てカラクリ人形だよ』
カラクリ……確かニホンの伝統工芸で、ギミック・パペットの事でしたっけ
『たとえば、そこのタヌキを横に倒してごらん』
ネモさんに言われた通り、私は丸々としたタヌキさんを、横にコテン。と倒します
すると、タヌキさんは一人でに起き上がりました。これがオキアガリコボシというものでしょうか
しかし、起き上がっただけではありません。そのまま反対側に倒れ、再び起き上がり反対側に倒れる。を繰り返します
タヌキさんは左右にゆらゆらと楽しそうに揺れています。私もタヌキさんに合わせて左右に揺れます
しばらく楽しそうに揺れていましたが、久々津さんがタヌキさんを掴むと、ようやく動きを止めました
「ただのオキアガリコボシではないようですね」
ここまで長い間揺れる玩具を見るのは初めてです
『その通り。ゼンマイと砂鉄が中に仕込んであり、それによって長い間揺れているのだ』
なるほど。メトロノームのようなものでしょうか
「そのおサルさんは?」
私が尋ねると、久々津さんはスッと螺子を取り出し、おサルさんの首に挿し、回します
螺子を抜いておサルさんから手を離すと、おサルさんはスクッと立ち上がり、コサックダンスを始めました。器用なものです。おサルさんも人形師さんも
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