8:名無しNIPPER[sage]
2017/06/11(日) 14:15:35.96 ID:6ZN736J50
背嚢を後ろに投げ捨て、無言で槍を構える。エレメンタルは応えるように閉じていた瞼を開き、ごう、と吹雪を吐き出した。冷気に痺れる私を余所に、エレメンタルは空中に私の槍の倍はあろう氷の槍を作り出した。
次の瞬間、矢のような速さでその槍が打ち出される。なんとか躱すと、槍は壁に深々と突き刺さった。4、5、6本。最小限の動作で躱すと、エレメンタルの周囲の槍は尽きる。すぐさま攻勢に転じようと距離を詰めると、また吹雪を吐き出した。
早目に終わらせるべきね。
ただでさえここまでの道のりで心身ともに消耗しているというのに、この風はみるみる内に私の体力を奪っていく。吹雪を止め再び氷の槍を生み出すのを見ると、すぐに地面を蹴りエレメンタルに迫る。氷の槍は私の肉を僅かに削ぎながら後方へと通り過ぎていく。確かに速いが、私ならば躱せる速度だ。
4本目、5本目の槍を躱す。エレメンタルとの距離はあと5歩。しかし、6本目の槍は私ではなくエレメンタルと私の間の地面に突き刺さった。
石礫を防ぎながら、後退するエレメンタルとの開いてしまった距離を強引に詰め槍を振るう。喉を裂いたが、浅い。エレメンタルは氷で弓矢を作り出し、私の心臓に狙いを定めている。構うものか。地を踏みしめ振りかぶり、槍を投擲する。矢が放たれるよりも先に、私の槍がエレメンタルの額を貫いた。
だが、絞られた弓矢は消えていない。矢は放たれ、私は入り口まで吹き飛んでいった。
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