死んだはずの妻と出会った話
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37: ◆2mwK9kDO1Y[saga]
2017/06/14(水) 23:19:07.32 ID:fF3hGUJcO

「う……ん……」


寝息が途切れたかと思うと、やがて瞼が開かれ、まつ毛が動きを見せ始めます


「……マコト……さん?」


「おはよう、カスミ」


なぜ僕は、その名前で呼んだのでしょう

彼女は間違いなく、僕の妻ではないはずなのに


きっと僕は、認めたくなかったのです

僕はまだ、彼女が妻であることに期待していたのです

頭では、そうではないと理解していても

心では、そうであって欲しいと願うのです


「今、何時?」

「8時を過ぎたところだよ」

「うそ!」


大きな声を上げたかと思うと、途端に身体を起こしました

布団が大きく捲られ、しなやかな肢体が露わになります


白く、きめ細かい肌

豊かな二つの乳房

背中に垂れる、長い黒髪


曲線で描かれた、一つの芸術作品のようでした


「レストランなら、10時までは空いてるはずだよ?」

「レストラン……あ、そうだったね」


振り返った彼女は、ゆっくりと微笑みました


「私達、旅行に来てるんだった」


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