死んだはずの妻と出会った話
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25: ◆2mwK9kDO1Y[saga]
2017/06/12(月) 00:27:41.70 ID:G8eGESGkO

あれから、電車に乗り換えました。

駅は予想外に綺麗な建物で、観光客が多いのだと実感しました

ですがその日は、乗客は僕達二人を含め、その車両には5人ほどしかいませんでした

20分弱ガタンゴトンと揺られ、辿り着いた駅の外では、送迎の車が待機していました

運転手に軽く挨拶を交わし、後部座席に腰かけます


5分ほどで、温泉旅館に辿り着きました


「すごーい! あったかい匂いがする!」

「……あったかい匂いってなんだよ」


妻の言うあったかい匂いが何かは分かりませんでしたが、硫黄臭とでもいうのでしょうか、ほんの僅かに刺激臭が漂っています


僕は、まるで子供の時に戻ったかのように、心が躍動するのを感じました


スタッフの方々に案内され、すぐに部屋まで案内されました


ツインルームを予約していましたが、和室ということで、まあそれなりの広さだろう……と、あまり期待していませんでした

ですが、予想はいい意味で裏切られました


「ねえねえ、マコトさん! これ見て! おっきな湖が見えるよ!」

「うわ……」


僕は、言葉を失いました

露天風呂から大自然を見渡せるとは聞いていましたが、まさか部屋からも一望できるとは思ってもいませんでした


僕と妻は暫く、障子の向こう側の世界に魅入っていました


「……マコトさん、温泉行かない?」

「あ、ああ。そうだね、行こうか」


この旅行の、本来の目的を忘れていました

荷物を置いて、浴衣を手にして、僕達は二人並んで温泉へと向かいました



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