72:名無しNIPPER[saga]
2017/06/14(水) 12:12:02.89 ID:N3+S3TwnO
私は、二人のやり取りに笑いながら、胸の内のしこりを感じていた。
分からない、なんだろう。嫌な気持ちだ。
「曜ちゃん、梨子ちゃんがー」
千歌ちゃんがすがるように私に抱き着いてくる。
「あ、千歌ちゃんってば、すぐ曜ちゃんに頼るんだから」
梨子ちゃんが私の横から身を乗り出して、千歌ちゃんを引っぺがした。
「やーん」
と、千歌ちゃんが変な声を出す。
「あはは、梨子ちゃんも、頼っていいんだよー」
拗ねた顔の梨子ちゃんの肩を冗談っぽく抱く。
この間、家でお風呂に入った時とは、また違う香りがした。
あたり前だ。
あたり前のことなのに、どうしてか吸い込んだ空気が重い。
「そんな事言われたら、甘えちゃうよ?」
少しすり寄って、梨子ちゃんがしがみつく。
やや顔を上げる。私と目が合う。
急に、手が汗ばんできたのを感じた。
耐えれなくて、
「ヨーソロー!」
と立ち上がった。
「ど、どーした、曜ちゃん!?」
あまりにも不自然過ぎた。
「な、なんでもないであります」
ビックリしている二人に、私は笑って誤魔化すのだった。
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