57:名無しNIPPER[saga]
2017/06/12(月) 00:46:09.68 ID:7LsMIviIO
そして、何があっても受け止める気でいる。
ダメだ。この気持ちは、墓場まで持っていくんだ。
「曜ちゃん、ここ最近ずっともやもやしてる。私が放っておくと思ったの? 残念、放っておきません!」
「めんどくさい彼女みたいな事言って……」
嬉しいんだ。
嬉しくてたまらない。
この場だけの愛情だとしても。
それにすがってしまいたい。
「彼女? ノンノン、私は曜ちゃんの隣に立つ女、高海千歌よ」
何言ってるの。
もう、バカらしくて。
「千歌ちゃん……あははっ、もお、やだっ……あはははっ!!」
バカらしくてアホらしくて、涙が出てきた。
コンタクトがずれて、目の前がぼやけた。
余計に涙があふれた。
千歌ちゃんは、でも、慰めようとはしないんだ。
参るよ。
やんなるよ。
「うん、ごめんねっ……千歌ちゃん」
「おっす」
可愛い千歌ちゃんはもういない。
とっくの昔にいなかった。私がずっと幼い頃の事を夢見てて。
私は、千歌ちゃんの理想を、私が勝手に描いていたその理想を守りたいだけだったんだ。
私が思っている以上に、私は随分と子どもだった。
そして、千歌ちゃんは先に進んでいた。
私達は、もう別々の道を歩いていたのに――。
「っひ……千歌ちゃん、あのね、ずっとね……親友でいてください」
「それだけ?」
「っ……うん」
「えー、そんなの叶うも同然じゃんか」
千歌ちゃんが、私をぎゅっと抱きしめてくれた。
この気持ちは確かに本気だった。
幼い私が大事にしていた、宝物だったよ。
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