152:名無しNIPPER[saga]
2017/06/20(火) 02:43:23.49 ID:bNB8Zs1kO
千歌ちゃんが、頬っぺたを自分の手で引っ張った。
「ち、千歌ちゃん?」
私はびっくりした。
伸びた皮膚が、びたんと戻る。
どうしたの。
千歌ちゃんが私の両手を握る。
「この曲さ、梨子ちゃんが曜ちゃんを想って、曜ちゃんのために作った曲なの」
吸い込んだ息に、むせそうになった。
「え」
「私にだけ教えてくれたの。『光る海』は、曜ちゃんのことだって」
千歌ちゃんが優しく微笑む。
「ど、うして」
かすれた声が、千歌ちゃんに問いかけた。
「最初から、梨子ちゃんは曜ちゃんを見てたんだよ?」
「まさか……」
「梨子ちゃんは、曜ちゃんを待ってるよ」
千歌ちゃんの手が離れていく。
私の体は相変わらずだるくて、
千歌ちゃんが突き出した拳の意味もすぐには分からなくて、
「行かなくていいの?」
そうやって、
「曜ちゃん、ちゃんと言わないと伝わらないんだから」
残酷な台詞を吐いた。
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