142:名無しNIPPER[saga]
2017/06/19(月) 01:46:39.41 ID:TqcAjD03O
この気持ちを表わすとしたら――。
「梨子ちゃん」
湯船が揺れる。
彼女の瞳から、目が離せない。
つい先ほど、眠りについたと思っていた心臓が蘇えり脈打ち出す。
「曜ちゃん……?」
水気を帯び、色艶の増した、唇。
近づきたくなる。
片手を、浴槽の縁に面したタイルに当て、膝を少し立てる。
梨子ちゃんは、でも逃げようとしない。
頭の中は、触れたい、それだけだ。
触れて、
もっと繋がりたい。
互いの吐息がかかった。
ガチャン。
玄関の鍵が開く音。
ガサガサとナイロンの袋がこすれ合う。
音が近づいてきて、
「あれ、曜ちゃん、こんな時間にお風呂?」
お風呂場のガラス戸越しに、ママの影が映った。
「あ……う、うん」
「早く寝るのよ」
「は、はーい」
無理矢理明るく返事をした。
その後は、梨子ちゃんの顔を見ることができなかった。
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