107:名無しNIPPER[saga]
2017/06/14(水) 23:27:53.27 ID:pWoUdw0iO
「梨子ちゃん、何を言いかけたの」
手の隙間から声が聞こえた。
「あ……うん」
いつも、邪魔が入る。
邪魔って言ったら、申し訳ないけど。
でも、言えなくて、良かったなって思ってる私もいる。
今の状態を変えたくないのね。
曜ちゃんは、深入りすれば逃げるかもしれない。
好きだなんて、伝えてしまえば、私ともう話すらしてくれないんじゃないの、なんて。
「言いたくなったら言いなよ」
曜ちゃんが私の手を握ってくれる。
焦ることはないのに。
気持ちだけは、いつでも先走っている。
「……どうしたの? もしかして、私が怒りそうな事?」
「えっと、うん……」
「怒るわけないよ。安心して」
私は、曜ちゃんが欲しいだけなの。
それを伝えたいだけ。
きっと、あなたは怒らない。
でも、傷つけたらどうしよう。
ピアノみたいに、失ってから、またもう一度取り戻せるとは限らない。
ああ、私、なんでこんな簡単に告白しようなんて思えたんだろう。
前よりも、もっと曜ちゃんに近づきたいと感じてる。
『私の中に入って来ないで』
けれど、穴が、まだ塞がっていないの。
その穴はあなたにしか塞げない。
でも、あなたの中に、私が入る余地はあるのかな。
165Res/122.37 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20