23: ◆Rj0X.392Pk
2017/06/04(日) 21:09:11.46 ID:eT+S8Zf10
「私は……」
「うん」
藍子は俯いて、小さく呟く。
「私は……、誰かの時間をもらってもいいんでしょうか……?」
グラスの氷のように、彼は藍子の心が揺れた音を聞いた。
「もちろん! 誰かの時間をもらったなら、藍子は最高の時間を返せばいいんだよ」
「最高の、時間」
藍子の心をもっと揺さぶるために彼はとびきりの笑顔で言う。
「だって、それがアイドルだろ?」
どんな言葉よりも、想いよりも、笑顔は時として人の心を動かす。
藍子の瞳から一滴の涙がこぼれ、次第にそれは、大粒へと変わった。
「……私、アイドルに、なってもいいんでしょうか?」
「もちろん。最高のアイドルに藍子はなれるよ」
「……はい!」
涙を流しながらも力強い言葉だった。
29Res/21.91 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20