26:名無しNIPPER[sage saga]
2017/06/06(火) 23:47:59.03 ID:wkvukSDa0
「とりあえず、命に別状はなさそうですね」
サンガツは一息ついた。
まだ汗が引いていないことを見ると、『ミクを取り返す』のには相当の気力を要したのだろう。
逃げてきた名も知らぬ空き地に、安堵の空気が流れる。
「……あの、サンガツさん」
「さんいらないです、サンガツでいいですよ」
「……じゃあ、サンガツ」
「そうですそうです」
サンガツは笑った。
自分だって敬語じゃないか、という突っ込みをする心の余裕は俺にはなかった。
「サンガツ、君と、このVOCALOIDたちについて教えてくれないか。こんな高性能なロボットが今の社会に存在するのか? さっきの重音テトって女性はなんだ? あれもVOCALOIDなのか?」
「……質問が多いですね」
サンガツはまた笑った。
「応えていくより、はじめから説明した方が早そうですね。 リン、おいで」
「はーいマスター!」
鏡音リンがサンガツの傍に添う。
と、鏡音リンの身体が溢れんばかりの光で輝き出した。
≪#sm1249071「えれくとりっく・えんじぇぅ」が発動しました≫
空間に流れたのは先ほどの無機質なアナウンス。
鏡音リンは、電子の翼をもつ天使へと再び姿を変えた。
「ッぷはっ! マスタぁー!きっついきっつい!!」
「ああごめんごめん、たまたま装填されてた曲があったからつい」
サンガツはそう言って鏡音リンに触れた。
疲れ切った様子のそれはどさりと地面にしりもちをついた。
「まずこれを貴方に見て欲しかった。これこそが本来の歌を自身の力に変える『VOCALOID』の能力です」
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