27:名無しNIPPER[sage saga]
2017/06/07(水) 00:12:58.14 ID:rd1iL2No0
「歌を……力に?」
「ええ。 どのような能力が顕現するかは『歌』によりますが」
元気が出るとか勇気が出るとか、そういう次元の話ではない。
現に鏡音リンの背中からは電子の粒で出来た羽根が出ている。
顔からして、現実に見ているものからして冗談ではなさそうだった。
とんでもないものに巻き込まれそうだったのは、もう過去の話らしい。
「歌を力に変えるのが『VOCALOID』。その力を奪おうとするのがさっきの『重音テト』の属する『UTAU』という組織です」
俺は間違いなく今、大嵐の渦中に居た。
「マスター!でもリンたち勝つよね?!絶対勝てるよねー?!」
「戦局は五分……と言いたいところですが、はっきり悪いです」
「んもォ――マスタぁ――!!」
「こちらに初音ミクが居なかったからです」
初音ミク。
確かに「世間一般に知られているVOCALOID」の中で、俺が唯一知っていたのが、隣で横たわるこれだ。
サンガツの言うところの『本来のVOCALOID』の中でも重要な存在なのだろうか。
初音ミクの頭に触れ、聞いた。
「これがあれば、勝てるのか?」
「これ?」
サンガツは眉をひそめた。
「あなたは彼女のマスターなんですよ」
「え?」
俺は本気で意味が分からずに「え?」と聞き返して、サンガツはきっと『俺がサンガツの言葉の意味を理解していない事』まで理解したのだろう。
「おい、VOCALOIDはマスターの所有物じゃないぞ」
空気が張り詰めた。
31Res/21.57 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20