高垣楓「他愛のない話」
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27:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 11:55:59.11 ID:MaZC+zyvo

 「ほっ、」

肺から空気が押し出されて、多分これが声にならない声でした。
あまりにも愚直過ぎる筋書きに、私のささやかな乙女心が錦の旗を振り回します。
風の音も、紅葉の音色も聞こえないくらいに、胸の奥がどんどんと騒がしく。


 「ほ、あの、あ……それはあの、きゅ、急な、もっと時間を」

 「いえ、その……時間も限りがありますし」


限りがあるから何なんですか。
限りがあるからその分、何をどうしようと言うんですか。


 「すみません……もう戻らないと、明日に響きますから」

 「で、でも、戻って……戻って…………戻って?」

 「……え? ええ」

 「…………どこに?」

 「え、ホテルに」


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