日野茜「文香ちゃんから別れたいと言われました」
↓ 1- 覧 板 20
10:名無しNIPPER
2017/06/01(木) 12:28:39.77 ID:JJsq6z5I0
いつも握っていたはずの文香の手は、すぐそこにあるのに、世界が隔絶されたように遠い。
本当に、好きでいてくれてた?
本当に、楽しかった?
11:名無しNIPPER
2017/06/01(木) 12:29:19.35 ID:JJsq6z5I0
明確な拒絶。
文香の横顔と碧い瞳は、見たことがないほどに鋭かった。
茜は声を発することも出来なかった。
12:名無しNIPPER
2017/06/01(木) 12:30:37.68 ID:JJsq6z5I0
茜の手は宙に浮いたまま。
文香は振り返りもせず去っていった。
文香の通過した改札が、来るものを拒む壁のような、可視化された無機質な境界線のようなものに感じられた。
13:名無しNIPPER
2017/06/01(木) 12:31:13.77 ID:JJsq6z5I0
その場から離れたくなって、ふわふわとした頭で、亡霊のような足どりで電車に乗った。
走ることもできなかった。
いつの間にか家に着いていたのは、もう何度も茶壮に行って、体が勝手に覚えている証拠だった。
14:名無しNIPPER
2017/06/01(木) 12:31:58.95 ID:JJsq6z5I0
「……あああああああああっ!!!!」
言葉にならない叫びが一人きりの部屋に響く。
「ああああっ! あああああっ! あああああっ!」
15:名無しNIPPER
2017/06/01(木) 12:32:49.05 ID:JJsq6z5I0
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
走っていても、アイドルをしていても、もやもやが晴れない。
しかしながら、そこはプロである。
16:名無しNIPPER
2017/06/01(木) 12:33:19.00 ID:JJsq6z5I0
二人でいた日々の記憶を辿る。
強く残っているのは、いつもの茶壮。
ゆったりとした時の流れる場所と、華やかで優しい香りのするお茶。
17:名無しNIPPER
2017/06/01(木) 12:33:50.61 ID:JJsq6z5I0
文香と一緒にいて見えた世界は、とても素敵で、新鮮で、輝きに満ちていた。
この感情を、否定したくはなかった。
この経験を、無駄にはしたくはなかった。
18:名無しNIPPER
2017/06/01(木) 12:34:29.73 ID:JJsq6z5I0
文香の影響で様々な知識はついたつもりであったが、語彙力不足は否めず、また、気持ちを文章でアウトプットするというのは喋るのとは別の難しさがあり、最初はペンを片手にノートの前で唸っていた。
それでも、しばらくしてから茜はプロデューサーの許可の下、ブログを始めた。
当初はポジティブパッションやチアフルボンバーズでの仕事やプライベートのこと等、明るい話題が多かったが、時折独特な語彙センスで普段感じていることを文章にすることが増えてきて、いつもの明るさや瑞々しさの中に、思慮深さや人間臭さを感じさせる文章は多くのファンを感心させた。
19:名無しNIPPER
2017/06/01(木) 12:34:59.35 ID:JJsq6z5I0
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「文香ちゃん! お仕事で一緒になるのは久しぶりですね! 今日の『マッスルキャッスル』頑張りましょう!」
「はい。茜さんも、お久しぶりです。ブログが話題になっていると、お伺いしました」
23Res/13.35 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20