日野茜「文香ちゃんから別れたいと言われました」
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12:名無しNIPPER
2017/06/01(木) 12:30:37.68 ID:JJsq6z5I0
茜の手は宙に浮いたまま。
文香は振り返りもせず去っていった。
文香の通過した改札が、来るものを拒む壁のような、可視化された無機質な境界線のようなものに感じられた。
文香が視界からいなくなってからしばらくして、茜は息を吐き、行き場を失った腕を下ろす。
重力に敗北したように体は後ろに傾き、ひんやりとしたコンクリートの壁に背中がぶつかった。
背筋は冷たいのに、心臓は燃えるように熱い。
心臓を鷲掴みにされ、鋭利な爪を立てられたように、今にも鮮血が吹き出しそうだった。
痛い。
心臓が痛い。
ここが駅でなければうずくまってしまいそうなくらい痛い。
手が震える。
足が震える。
息が震える。
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