15:名無しNIPPER[saga]
2017/05/31(水) 17:57:42.34 ID:3uv3ojMy0
「して、桐生様。杉の方はどうされますか」
屋敷に戻ると、家来の1人が尋ねた。
「うん」
桐生は難しげな表情をして頷いた。
杉はまた集まる。問題は、財前屋の方をどうするかだ。
見境なく船を撃沈するくらいだから、
むこうも切羽詰まっているのには間違いない。
「いっそのこと、陸路と海路をすべて封鎖しますか」
他の家来が提案した。
桐生屋の財産をもってすれば可能である。
「馬鹿! 帳尻が合わなくなるだろうが!!
沽券を守るたって、限度ってもんがあるんだ」
桐生は部下を叱った。
商人としての矜持と、現実的な経営感覚。
桐生家の長には、それが不可欠である。
「桐生様、美城の杉を使われてはいかがですか」
また、他の家来が提案した。
町のはずれに小さな雑木林があり、
そこには樹齢数百の杉の大樹が生えている。
それを斬り倒せば、当面の時間稼ぎにはなるだろう。
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