310:名無しNIPPER[saga]
2017/06/24(土) 00:30:23.78 ID:/HbUbsMAO
「儂の娘を、輪転器を盗んでくれ」
王の力が輪転器へと渡るまで彼女を守って欲しい。それが、魔王の依頼であった。
盗賊はその依頼を引き受けると夜に脱獄。再度王宮へと忍び込み、宝物庫にて王女と再会する。
まさかの再会に驚く王女。
彼女は輪転器であることを受け入れながらも、外界への憧れを捨てきれずにいた。
「今から外に出て星を眺めようと思ってるんだけど、良ければ一緒にどうかな?」
盗賊の言葉に大きく心を動かされる王女だったが、自分の我が儘で混乱を招くことを恐れ、決断を下すことが出来ない。
いっそ何も言わず連れ去ってくれたなら。そんなことを考えている間に騎士達の足音が迫っていた。
それでも王女の答えを待つ盗賊。曰く、無理矢理に攫うような真似は好きではないらしい。
「きみは輪転器なんて無機質なモノじゃない。きみは、生きてる」
この言葉により、王女は王宮を出ることを決意する。
「……今からでも、間に合いますか?」
盗賊は王女の願いを叶える為、傷を負いながらも王宮から脱出するのであった。
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