7: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/05/28(日) 00:05:01.85 ID:Rwhrm4/q0
「なるほど! はぐれるとさびしいでごぜーますものね……」
何度か頷きながら、彼女は納得してくれたようだった。
8: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/05/28(日) 00:06:41.53 ID:Rwhrm4/q0
「キャラバンの鈴の音っていうのがわからなかったんでごぜーます」
にへ、と力なく彼女が笑う。
「なるほどな。それにしても、懐かしい歌だ」
9: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/05/28(日) 00:08:07.50 ID:Rwhrm4/q0
「そうだなあ……いい歌だとは思うけど」
「そうで、ごぜーますか」
「仁奈は違うのか?」
10: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/05/28(日) 00:09:17.15 ID:Rwhrm4/q0
「仁奈、キャラバンって、もっとすげーものだと思ってたです」
「だってかいじゅうが、自分の家をすててしまうくらいだから」
11: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/05/28(日) 00:10:04.91 ID:Rwhrm4/q0
描写こそなけれ、怪獣は恐らく一匹だったのだろう。誰と話すことも、喧嘩することさえできず。
明けては暮れる太陽を眺めながら、気の遠くなるような時間を孤独に過ごしたのだろう。
12: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/05/28(日) 00:11:03.21 ID:Rwhrm4/q0
「仁奈は、あの歌に出てくる怪獣はどんなやつだと思う?」
彼女は僅かに黙り込んで考えた。きっと怪獣の気持ちになっているのだろう。
13:名無しNIPPER[sage]
2017/05/28(日) 00:11:08.01 ID:Xsmhs4DWo
懐かしいな、俺は中学の時に歌ったが
14: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/05/28(日) 00:13:09.66 ID:Rwhrm4/q0
「そうだよな。おれも怪獣はいいやつだと思う」
彼女の笑顔につられて微笑みながら、言葉を続ける。
「なら、こう考えられないか。怪獣は海に遊びに行ったんだって」
15: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/05/28(日) 00:13:56.01 ID:Rwhrm4/q0
「仁奈だって、仕事で色んなとこに行くだろ? でも仁奈は、仁奈の家に帰ってくる」
「きっと怪獣は、海を見に行ってそこで友達を作れたら、また帰ってくるつもりだったんじゃないかな」
そう言うと、彼女も頷いた。
16: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/05/28(日) 00:15:52.07 ID:Rwhrm4/q0
「……仁奈はですね、さっきまで、かいじゅうのことをあんまり好きになれなかったでごぜーます」
「だって、自分の住んでいる家を出て行ってしまう歌だったです」
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