39:名無しNIPPER[sage]
2017/06/17(土) 06:00:15.22 ID:SPT11cJFo
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いつもの仕事の帰り道。
見るたびに身なりが良くなる露天商の女に冗談半分で訊いてみる。
すると彼女は「はっはっ」と人を小馬鹿にするような、
小気味良い笑いを披露してこう言った。
「ございますよ、そういう薬」
「えっ」
「お値段少々張りますが、用意できなくはありません」
言って、女がニタリと笑う。
「最近法改正がありましてね。一部の変た――愛好者の為に、幾つか合法化されたんですよ」
さらには机の下より一枚の書類とボールペンを取り出して、スラスラと淀みなく語って見せるのだ。
その妙に手慣れた手付きを見て悟る。
どうやらこの女にこの手の相談を持ち掛けるのは、俺が初めてじゃあないらしい。
「ただし、一つ注意点が」
「聞こうじゃない」
「保護団体もうるさくてですね……ほら、その、あの子たちは人にそっくりでしょう?」
「まあ……似てるな」
「サイズを変えて、人語も喋ればそれはもう"人"じゃないかって」
「ちょ、ちょっとタンマ」
俺は片手を突き出して、女の説明を遮った。
「もう、なんですか?」と話の腰を折られた彼女は不機嫌そうに呟くが……
すまない、今、聞き捨てならない部分があったよな?
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