八幡「真実が残酷でなければ、優しさは嘘でない」
1- 20
10: ◆O72Cu5n13Q
2017/05/29(月) 04:14:28.15 ID:w6VaETYg0
*            *            *

「まずは自己紹介から始める、今年一年このクラスの担任を務める平塚静だ」

始業式を終え、教室では今年初めのホームルームが行われている。
一人一人の自己紹介が始まって思ったが、割と見知った顔ばっかだな。 もしかして俺って知り合いが多いのか?

「由比ヶ浜結衣です、部活は奉仕部ってとこに入ってます! 猫か犬なら犬派です!」

由比ヶ浜らしい馬鹿っぽい自己紹介を聞いている最中、左隣からカチャリと何かが落ちる音がした。
ふと足元を見るとピンク色のペンが俺の方まで転がってきていたので、拾って持ち主に差し出してやる。

「あっ……。 チッ」

相模南。 優しくない頃の俺と色々あった彼女は、軽く舌打ちをすると礼も言わずに差し出されたペンをぶんだくる。
相変わらず鼻につく態度だが、許そう。 何よりこの態度を取られるだけの非が俺にはある。
相模を傷つけない優しい手段を持たないばかりに、俺はあえて彼女を傷つけた。
ならばむしろ許される側なのは俺かもしれない。 
許してくれだなんて乞うつもりはないが、だからと言って彼女に押し付けた俺の正義を正当化するつもりもない。
なら、俺のすべきことは。


*            *            *

新学期の初日は、始業式とホームルームが終われば正午前で下校となる。
平塚先生の号令でクラスメイトが続々と教室を後にする中、俺はある人物の姿を探していた。

「ヒッキー、今日部活行く?」
「すまん、今日はやりたいことがあるから行けない。 雪ノ下にも伝えておいてくれ」
「そっか、わかった」
「悪いな」

由比ヶ浜に一言詫びて、教室を出ようとする生徒に声をかけた。


「相模、ちょっといいか?」



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
19Res/13.67 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice