八幡「真実が残酷でなければ、優しさは嘘でない」
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9: ◆O72Cu5n13Q
2017/05/29(月) 03:44:39.22 ID:w6VaETYg0
年度初め、新しい教室に入るとどうも違和感がある。
そこにいる顔ぶれも違えば、教室の風景も違うのだから当たり前と言えば当たり前なのだが。
「比企谷君」
教室を見まわしていると横から肩を叩かれる。 葉山隼人だ。
「今年も同じクラスか、よろしく頼む」
「ああ。 ……結局、文系にしたんだな」
「言ってなかったか? ……結局俺は、まだしばらくみんなの望む葉山隼人でいようと思ったんだ」
「そうか。 まあ、いいんじゃねえの?」
「は?」
「俺はお前の中でどんな葛藤があったのかすべてを知ることはできない。
考えた結果ここにたどり着いたなら、俺が口を出す理由も権利もないだろ」
「ま、まあそうなんだけど……」
「お前の生き方や選択に文句をつけるつもりはねえ。 まあなんだその、頑張れよ」
「ちょっと待て」
驚いたように、葉山が制止する。
「君、本当に比企谷か?」
「そうだよ、みてわかんないのか?」
「オーケー、わかった。 比企谷、袖をまくって腕を見せろ」
「何言ってんだ」
「……注射の後でも、あるんじゃないかと思って」
バッカおまえ、俺は優しくなると決めただけで危ない薬なんか使ってない。
「ねえよ、ほら、呼ばれてんぞ。 行ってやれ」
「あ、ああ。 比企谷君、何か辛いことがあったらいつでも言えよ?」
納得しない様子で、葉山は去っていく。 驚くのも無理はないか。
でも、俺は優しくなると決めたんだ。 なんと言われようとその意思を曲げるつもりはない。
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