126:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 22:52:17.67 ID:aF6m6vO3O
その後、すぐにナースが来て体調を確認された。
内臓まで傷つけた訳ではなかったので、重態にならなかったそうだ。
それにしても、体に何か刺さるなんて経験初めてで、未だに自分でも何が起こっているのか実感が沸いていなかった。
曜ちゃんと千歌ちゃんがどれだけ泣き喚いていたかを、マリさんから聞いて、二人が顔を真っ赤にしながら騒いでいる内に、両親がやってきた。
「すみません!」
曜ちゃんが、一番に両親の前に立って、頭を下げた。
「私のせいで、梨子ちゃんを巻き込んでしまいました!」
「何言ってるの! 曜ちゃんは、被害者でしょ……? 第一、私がもしあそこにいなかったら、曜ちゃん……」
私は曜ちゃんの腕を引っ張った。
そうだ、曜ちゃんは。
曜ちゃんは、一体、あそこで何をされたの?
だって、あの時、頭から血を流して、顔面蒼白で、上半身に何も纏っていなかった。
「曜ちゃん、今はとりあえず外に出よう。もうちょっと冷静になってからの方がいいよ」
果南さんが、一礼する。
「そうね、ちかっち、行くわよ」
マリさんが千歌ちゃんの腕を掴んだ。
「あ、で、でも」
ずるずると引きずられていく。
「曜、謝りたい気持ちも分かるけど、それは後で……ね? そして、あなたは、怪我人だってこと分かってる?」
「あ、う、ああ」
あれよあれよと、みんなが部屋の外へと出て行った。
部屋には、両親と私だけが残される。
二人は少し微笑んで、ほっとしたように私を抱きしめてくれた。
「良い友だちを持ったね」
そう言ってもらえたことはとても嬉しかった。
と、同時に、残酷な現実を宣告されたようでもあった。
私はもしかしたら、また、一つ、曜ちゃんから遠い存在になってしまったのではと。
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