梨子「曜ちゃん、怒らないで聞いてね」
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119:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 20:15:22.21 ID:wAEe1nHVO
「梨子ちゃん! 曜ちゃん!」

「ヨウ! リコ!」

千歌ちゃんの声。
そして、先ほど念のため連絡していた鞠莉ちゃんの声が重なった。
千歌ちゃんが後輩を取り押さえる。
後輩は目を見開いていた。まるで、自分がしたことに驚いているようだ。
それを横目で見ていたが、私はついに崩れるように倒れた。

「リコ! なんてこと!」

「救急車を……」

弱弱しく私を抱きかかえながら、曜ちゃんが言った。

「梨子ちゃん……ッ」

曜ちゃんの額から流れ落ちる血液が、彼女の涙と混じり、私の頬に落ちた。
苦しくて、傷口が燃えるように熱くて。

「よ……ちゃ」

「やだっ……梨子ちゃ……梨子ちゃん!!」

ハンカチ、どこだっけ――。曜ちゃんの血と涙を、どうにかしないと――。
手を伸ばすと、曜ちゃんは、それをしっかりと掴む。
間違いない。きっとこのまま死ぬんだと思った。
けど、なぜか、曜ちゃんの腕の中で、最後を迎えられるならそれもいいとさえ思えた。
だって、大好きな人がちゃんと目の前にいて、私のために涙を流してくれている。
そんなに幸せなことがあるの?

「曜……ちゃ…………っ」

でも、せめて伝えたい。
好きだって伝えたい。
お願い、それだけでいいから。
伝わってくれれば。

「……っ」

「何て言ってるの……? 梨子ちゃん? 聞こえない……梨子ちゃんっ」


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