8: ◆OYYLqQ7UAs
2017/05/19(金) 09:30:46.56 ID:1MWb8Lrjo
「『ポッカリ月が出ましたら、舟を浮かべて出掛けましょう』」
「!!?」
不意に杏奈ちゃんが発した言葉。というよりも、朗読といったほうがいいだろうか。
それは聞き間違えるはずもない、ここ数日読みふけっていた詩の、一節。
「合って、た……?」
「な……なんで…?」
どこか得意げな表情でこちらを見る杏奈ちゃんに、私はろくな言葉を返すことができない。
当たり前だ。私しか知らないはずの詩、私しか知らないはずの、自己満足の計画。それが、見透かされていたなんて。
「百合子さんが…読んでた、から……調べてみた、の」
確かにここ数日私はその詩集ばかりを読んでいたけれど。
それだけでその詩集について調べてくれるほどに、私のことを見ていたんだ、という嬉しさがこみ上げてくる。
しかし、この詩を読んだということは、私が何を望んで今日杏奈ちゃんを連れ出したのか、というのもばれてしまう。
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