3: ◆OYYLqQ7UAs
2017/05/19(金) 09:28:11.92 ID:1MWb8Lrjo
「杏奈ちゃん、明日って何か予定ある?」
図書館から詩集を借り、家でも事務所でもその詩集を繰り返し読み耽る日々が数日続いた頃、私は事務所で杏奈ちゃんにそう声をかける。
事務所とは言うが、正確には元会議室の休憩所。今この部屋には私と杏奈ちゃんしかいないし、プロデューサーさん達はドアの向こうだ。
「明日……ううん、ちょうどゲームもメンテの日だし……なにもない、よ?」
私の言葉の意図を図りかねているのか、少し首を傾げながらもそう答える杏奈ちゃん。
私の鼓動が早いのはそんな杏奈ちゃんを見たからなのか、単にこれから言おうとしてる言葉に緊張しているのか、自分ではわからなかった。
「じゃ、じゃあ一緒に行きたいところがあるんだけど、いいかな?」
「いい、よ……どこで、待ち合わせ……する?」
「○○駅に、夕方の五時くらいとか、大丈夫?」
「いい、けど……夜のお出かけ……なの?」
「あ、うん。ちょっと見たいものがあって」
「……わかった。百合子さんと夜のお出かけ……楽しみ」
そう言ってふにゃりとほほ笑む杏奈ちゃんに、私の鼓動はさらに早くなってしまう。
たかだか遊びのお誘いにこんな一喜一憂して、受けてもらえて嬉しくなって、私は本当に杏奈ちゃんのことが好きなんだな、と改めて実感した。
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