男「余命1年?」女「……」
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275: ◆PChhdNeYjM[saga]
2017/06/13(火) 22:39:12.23 ID:7v9q17ymO

男(……何だ? 最後のページは……あとがき?)




いや、あとがきではない。


それは……彼女が俺に残した、正真正銘、彼女自身の言葉だった。




『男さんへ』

『もしもあなたがこのメッセージを読んでいるとすれば、私は既に死んでいるか、もうじきこの世を去るのでしょう』

『あなたは、きっと悲しんでいるのだと思います』

『だって、あの時病室で聞いたあなたの言葉は、本物だと思うから』



『でもね、男さん』

『私は、不思議と悲しくはないんです』



『もちろん、あの時あなたに言った、生きたいという言葉は本心です』

『できることなら、もっとあなたと生きたかった』



『残念だけど、それは夢でしかありませんでした』



『あなたと生きることが、私の夢でした』

『そんな私の夢は、とうとう叶わなかった』



『けれどその夢は、私の願いの、ほんの一つに過ぎません』

『私は男さんに、たくさんの夢を叶えてもらいました』

『初めて病室で出会った時から、本当に、たくさんの夢を』



『あの時のあなたにとって、きっと私は、数多くの作家の一人に過ぎなかったのでしょう』

『だからきっと、あなたは覚えていないかもしれませんが』

『私にとってのあなたは、家族以外に私に優しさをくれた、唯一の人なんです』

『だって私は、この身体のせいで、いつも学校に馴染めなくて、友人と言える人は一人もいなかったから』

『担任の先生の優しさは、義務感からそうしているんだって、すぐにわかりました』

『ほら、私ってこんなだから、いつも他人の顔色とか伺っちゃうんです』

『その程度の親切心は、偽物だって分かっちゃうんですよ』



『でも、あなたは違った』



『もしかすると、あなたはただ、必死だっただけなのかもしれません』

『そんなあなたの必死さが、私にはたまらなく嬉しかったんです』


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